四代目店主のブログ

2025年6月12日

梅雨時期に襖がブカブカになる理由とは?新品でも起こる一時的な現象を畳店が解説



まずはご安心ください!襖のたるみは心配無用です

「ちょっと前に襖を貼り替えたばかりなのに、梅雨に入ったら襖がブカブカしてきた」というお悩みをお持ちではありませんか?

結論から申し上げますと、全く心配ありません。

梅雨時期の襖のたるみは、晴れた日が2〜3日続けばすぐに元通りになる一時的な現象です。これは湿気による自然な現象で、決して施工不良や品質の問題ではありません。

現在、多くのご家庭で使われている新鳥の子紙や織物襖紙などでも、この現象は普通に起こります。晴れて湿度が下がると、襖は元の美しい状態に戻ります。

つまり、「あー、湿気のせいなのね」と納得していただければ、それで十分なのです。


襖のたるみが元に戻るメカニズム

なぜ晴れた日にすぐ直るのか?

襖紙(新鳥の子紙や織物襖紙など)は、湿気を吸収して膨張し、乾燥すると収縮する性質があります。梅雨が明けて湿度が下がると、紙は元のサイズに戻ります。この自然な変化は、襖紙の正常な反応なのです。

回復までの期間

  • 晴れた日が続く場合:2〜3日で改善
  • エアコン等で除湿している場合:1〜2日で効果
  • 自然乾燥の場合:1週間程度で元通り

多くのお客様が経験されています

「朝起きたら襖がピンと張っていた」「心配して損した」といった声をよく聞きます。この現象は決して珍しいことではないのです。


梅雨時期に襖がブカブカになる理由

1. 湿気による紙の膨張

新鳥の子紙や織物襖紙は、空気中の湿気を吸収します。梅雨時期の高湿度により、紙が水分を含んで張り付けた時よりも大きくなってしまいます。

2. 骨組みとの膨張率の違い

襖の木製骨組みも湿気で多少膨張しますが、紙の方が変化が大きいため、骨組みに対して紙が余ってしまい、「ブカブカ」した状態になります。

3. 冬などの乾燥時期に施工した影響

冬は一年で最も乾燥している時期です。この時期に張った襖紙は乾燥した状態に合わせて調整されているため、梅雨の高湿度との差はそれなりにあり、たるみが目立ちやすくなります。

だからと言って、冬に施工することが悪いことではなく、いずれにせよ梅雨はくる為、この様な現象は起こりえます。


一般家庭の襖紙の特徴

新鳥の子紙(最も普及している襖紙)

  • 特徴:パルプを主原料とする機械漉きの紙
  • 湿気への反応:適度に湿気を吸収し、乾燥時には元に戻る
  • メリット:価格が手頃で、日常使いに適している
  • 湿度による変化:穏やかだが、梅雨時期にはたるみが生じる

織物襖紙(上級品)

  • 特徴:紙の表面に織物を貼ったもの
  • 湿気への反応:新鳥の子紙と同様の変化
  • メリット:見た目が美しく、耐久性が高い
  • 湿度による変化:織物部分は安定、下地の紙が反応

どちらも正常な反応です

これらの襖紙は、一般家庭で最も多く使われているものです。梅雨時期のたるみは、どちらの紙でも起こる自然な現象なのです。


梅雨時期の襖の変化パターン

第1段階:軽微なたるみ(梅雨入り直後)

雨が続き始めると、襖紙が湿気を吸収し始めます。「なんとなく波打っているかな?」程度の変化です。

第2段階:はっきりとしたたるみ(梅雨中期)

連日の雨で湿度が高くなると、たるみがはっきりと見えるようになります。「あ、ブカブカしてる」と気づく段階です。

第3段階:最大のたるみ(梅雨後期)

湿度が最も高い時期に、たるみも最大になります。でも、破れることはほとんどありません。

第4段階:回復(梅雨明け後)

湿度が下がり始めると、驚くほど早く元の状態に戻ります。「あれ?いつの間に直ってる」となる段階です。


より早く改善する方法

1. 除湿器の活用

  • 襖のある部屋に除湿器を置く
  • 湿度50〜60%を目標に設定
  • 1〜2日連続で使用すると効果的

2. エアコンの除湿機能

  • 「除湿」モードに設定
  • 温度は26〜28度程度
  • 風量は「弱」で連続運転

3. 自然換気

  • 晴れた日の午前中(10〜12時)
  • 雨上がりで風がある時
  • 30分程度の換気で十分

季節による襖の変化を理解しよう

  • 春(3〜5月):湿度が安定しており、襖の状態も良好
  • 梅雨(6〜7月):高湿度でたるみが発生するが一時的
  • 夏(8〜9月):梅雨明け後、急速に回復
  • 秋(10〜11月):最も安定している時期
  • 冬(12〜2月):乾燥によりピンと張った状態に

よくある心配事にお答えします

Q: これって施工が悪かったのでは?
A: 違います。湿気による自然現象です。施工不良なら季節に関係なく常にたるんでいます。

Q: 張り替えが必要ですか?
A: 必要ありません。晴れた日を待てば自然に直ります。

Q: 毎年こうなるのですか?
A: 梅雨時期は毎年多少の変化がありますが、年を重ねるごとに変化は穏やかになります。

Q: 新築だから特にひどいのでは?
A: 新築は建材の湿気もあり、確かに1年目は変化が大きめです。でも心配無用です。

Q: 古い襖紙の方が良かったのでは?
A: 古い紙は劣化で変化しにくいだけです。新しい紙の方が本来の性能を発揮しています。


新築住宅での特別な事情

新築住宅では、建材や接着剤から出る湿気により、通常より襖のたるみが目立つことがあります。しかし、これも1〜2年で落ち着きます。

「新築なのに襖がおかしい」と心配される方が多いのですが、実は逆で、「新築だからこそ起こりやすい」現象なのです。


お手入れのポイント

梅雨時期にしてはいけないこと

  • 無理に平らにしようとする
  • 濡れた布で拭く
  • アイロンをかける

正しい対応

  • 自然な状態で放置する
  • 除湿器やエアコンで湿度を下げる
  • 晴れた日を待つ

まとめ:安心してお過ごしください

梅雨時期の襖のたるみは、湿気による一時的な現象です。

  • 晴れた日が続けば2〜3日で元通り
  • 新鳥の子紙や織物襖紙なら正常な反応
  • 施工不良ではありません
  • 張り替えも不要です

「あー、湿気のせいなのね」と理解していただき、安心してお過ごしください。

毎年繰り返される自然現象として、温かく見守っていただければと思います。襖も住まいの一部として、季節の変化と共に生きているのです。


多くのお客様が同じ心配をされておりますが、どうぞご安心くださいませ。

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