四代目店主のブログ

2026年7月8日

10年振りに熊本県八代市へ、いぐさの刈り取り体験に行ってきました


­2026年7月3日から5日にかけて、熊本県八代市まで、い草の刈り取り体験に行ってまいりました🌾

畳の主役ともいえる、い草。その原料が、どんな土地で、どれほどの手間をかけて育てられているのか。産地に足を運ばなければ、なかなか分からないものです。

前回訪れたのは、ちょうど10年前。今回は畳屋仲間からお誘いを頂き、久しぶりの刈り取りとなりました。


■ 国産い草の一大産地・八代🌱

畳表に使われる国産い草は、そのほとんどが熊本県で作られています。なかでも八代地方は、古くから続く、い草の一大産地です。

刈り取りの時期は、一年で最も暑い6月下旬から7月にかけて。まさに今が最盛期です。

私たち畳店にとって、八代は畳の“ふるさと”ともいえる場所なのです。


■ 10年ぶりの八代で驚いたこと💭

ところが、着いて早々に周りの田んぼを見わたして、驚きました。

10年前はそこらじゅうにあった、い草田が、明らかに減っていたのです。

農家さんの数も随分と減ってしまい、今では200件ほどとお聞きしました。高齢化や後継者不足、安い輸入品との競争など、産地を取り巻く状況は年々厳しくなっているそうです。

私たちが当たり前のように使っている国産の畳表は、決して当たり前のものではない。あらためて、そう感じました。


■ 朝から晩まで、い草と向き合う一日🌿

今回お世話になりましたのは、この業界では有名な、ある家族経営の農家さんです。

い草田には、育つ途中で倒れてしまわないよう網が張られています。その間を分け入りながら、ハーベスタという機械を使って一株ずつ刈り取っていきます。刈り取ったばかりのい草は、想像していたよりもずっしりと重いものでした。

一日の流れは、なかなかにハードです。

・朝7時〜12時:田んぼで刈り取り
・工場へ戻り、前日から乾燥させたい草を釜揚げする作業
・12時〜15時:休憩
・15時〜18時:ふたたび刈り取り

朝は、一日で最も涼しい時間から作業が始まります。刈り取りから仕上げまで、休む間もなく手が動き続けていました。


■ 刈り取ったあとの、ひと手間🔧

刈り取ったい草は、そのまますぐに畳表になるわけではありません。

まず驚いたのが、刈り取った直後のい草は、まだ熱を持っているということ。そこで、シャワーで草を冷やしてやるのだそうです。

そのあとに行うのが「泥染め」。天然の染土(せんど)という泥に、い草を浸していきます。倉庫には、この染土がうずたかく積まれていて、その量にも驚かされました。

泥染めを終えたい草は、釜(乾燥機)でじっくりと乾燥。前日から乾かしたものを、翌朝に釜揚げします。

一枚の畳表になるまでに、これほど多くの手間が重ねられているのだと、あらためて知ることができました。


■ 慣れない作業に、頭がクラクラ💦

 

普段は畳を作る側の私たちですが、い草を育て、刈り取る作業は、まったくの別物でした。

炎天下での立ちっぱなしの作業に、慣れない私は頭がクラクラするほど

一本一本のい草が、こうした農家さんの手仕事から生まれている。良い畳表は、良いい草があってこそ。長年い草に触れてきたつもりでも、育てる側のご苦労は、実際に体を動かしてみなければ分からないものでした。


■ 京都の由緒あるお寺にも💬

休憩時間には、農家さんのい草に対する熱意を、じっくりとお聞きすることができました。

こちらのい草は、京都の由緒あるお寺にも納められているのだそうです。長年にわたって、それだけの品質を守り続けておられる。その言葉の端々から、日頃のご苦労と誇りが垣間見えました。

こうした農家さんの情熱があるからこそ、私たちは安心して国産の畳をお届けできるのだと、あらためて感じた次第です。


■ 来年のために、長靴を置いて帰りました🌟

「また来年も」と、仲間の先輩にお声をかけて頂きました。

そこで、来年また来られるように、長靴を置いて帰ってまいりました。

これからも産地とのつながりを大切にしながら、良い畳をお届けできるよう努めてまいります。畳のこと、そして畳の原料であるい草のこと。少しでも皆様にお伝えできれば幸いです。


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